精油の研究者3

上馬場和夫(富山大学和漢医薬学総合研究所) 
— アロマテラピーの作用メカニズムの研究

アロマテラピーのトリートメント(マッサージ)を受けた
ことがある者なら、単なるリラックスを超えた深い安らぎが
得られることをご存じのことだろう。

上馬場によれば、アロマテラピーのトリートメントの効果は
薬理作用・生理作用・心理作用の3つの作用が絡み合ったものだという。

アーユルヴェーダなどの伝統医学を深く追求する一方で薬理の専門家
でもある彼は、そのことを科学的に立証する研究に取り組んでいる。

ここでいう薬理作用とは精油分子が経皮吸収して得られるものであり、
生理作用とは手技による体性自律神経反射などの作用を、心理作用とは、
いうまでもなく心の変化を指している。

こうした3つの作用の複合は、興味深いことに単なるリラックスではなく、
恍惚感や時間感覚の喪失など、意識の変容を伴うものであるという。

古来より医療には内治(投薬など)と外治(手技など)のふたつがあるが、
近代医学は内治中心である。上馬場の研究は、投薬や手術など以外の外治
でも十分に身体の内部に変化を起こせることを示しているのだ。

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わが国にアロマテラピーが紹介されておよそ25年が過ぎようと
している。統合医療への関心が高まる中で、数あるCAM
(相補代替医療)の中でも人気のあるアロマテラピーは欧米で
着実に広がりをみせており、科学的な研究報告も増加している。

一方、わが国のアロマ研究も活発化しており、初期の鳥居鎮夫
(東邦大学医学部名誉教授)のCNV(随伴性陰性変動)を利用した
香りの心理作用の実証に続いて、ユニークかつアロマテラピー
の普及に貢献する研究が行われている。

(メディアサボール)
グリーンフラスコ株式会社 代表・薬剤師 林 真一郎

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